鼈の独り言(妄想編)

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ミイデラゴミムシ ~昆虫のロケットマン、幼虫は偏食家~

 「ロケットマン」現在某超大国の大統領が某国の最高指導者を揶揄した言葉である。しかしこちらのロケットマンは国家が作り出したロケットを操ることはできても自分ではロケットを生み出すことはできない(権力で造ったロケットは自ら建造したと言えないという定義ならば)ロケットそのものを考えるにはこの人物よりも我々の足下に優れたロケット技術を持つ「昆虫」が存在する。今回は体内にロケット技術を隠し持つ昆虫「ミイデラゴミムシ」を考察したい。

 そもそもロケットとはなんぞや?というと「自らの質量を噴射して推力を得るもの」となる。簡単なロケットとなるとゴム風船を膨らまして口を結ばずに手を離せばゴムの縮む力で風船内の空気が押し出され風船が動く。これもロケットといえるのである。しかし普通に質量を噴出しただけでは自らを動かすまでの推力は得られない。このため物質の化学変化で噴出させる物質の体積を増やすなどしてより大きな推力を得ようとしたものがロケットエンジンである。

 ロケットの定義はこれぐらいにしてミイデラゴミムシの方に戻ろう。ミイデラゴミムシは沖縄諸島を除く日本全国、朝鮮、中国に分布するゴミムシの仲間(hホソクビゴミムシ科)で頭と胸がオレンジがかった黄色。腹部上羽は黒で中央付近に頭や胸と同色の切れ込み模様が入り、警告色なのかこの種の虫としてはかなり派手な色をしている昆虫である。
 ミイデラゴミムシの生態の特色はなんといっても「おなら」である。ミイデラゴミムシは敵に襲われると「おなら」をして敵を撃退する防御方法を持っているのである。この特徴から「ヘッピリムシ」や「ヒヘリムシ」の方言で呼ばれる地方も多い。ちなみに管理者の出身地では「ヘッピリムシ」はカメムシのことを指していてミイデラゴミムシはさしたる呼び名はなかった。実のところミイデラゴミムシが含まれるホソクビゴミムシ科の昆虫は「おなら」をする虫が多い。ミイデラゴミムシはこの仲間では大型で餌を求めて徘徊する習性があり目立つため「ヘッピリムシ」の名前を頂戴したと思われる。

 ミイデラゴミムシのロケット機構は過酸化水素水(H2O2)とヒドロキノン(C6H4(OH)2)の反応を利用したものである。ミイデラゴミムシは肛門近くの袋にこの二つの物質を収納しておきいざというときに二つの物質を同時に肛門へ押し出すとこの二つの物質は反応を起こすのである。過酸化水素水は強力な酸化剤でかのロケット戦闘機メッサーシュミット Me163や日本版Me163「秋水」にも利用されてきた物質でありヒドロキノンも強力な還元剤として利用される物質である。この二つが混じり合うと
  ヒドロキノン(C6H4(OH)2)+過酸化水素水(H2O2)
  →p-ベンゾキノン(C6H4O2)+水(H2O)
という反応を起こし、また反応熱が発生する。この熱で水は蒸発して水蒸気となり急激に体積が膨張してミイデラゴミムシの体外に放出されるのである。この発生ガスの温度は100℃を超えており捕食者へ火傷を負わせることでミイデラゴミムシは敵から逃れることが出来るのである。またヒドロキノン、ペンゾキノン共にタンパク質と結合する性質があり人体に直接触れると皮膚が褐色を帯びてしまうことがある。人体に大きな影響は与えないがミイデラゴミムシの捕食者には科学的に有害な成分になっている。さらにたとえ捕食されたとしてもミイデラゴミムシの有毒ガスは捕食者の胃腸を刺激し獲物を丸呑みにするカエルなどはこの刺激により飲み込んだミイデラゴミムシをはき出してしまうことがある。実験では飲み込まれて二時間後にはき出され生還したミイデラゴミムシもいたそうである。カエルは獲物が棄権かどうかの学習能力が高く一度ミイデラゴミムシの屁の洗礼を浴びたカエルはミイデラゴミムシの捕食を避けるようになりミイデラゴミムシの捕食圧を軽減する効果も期待できる。
 ミイデラゴミムシの肛門は伸縮性がありまたフレキシブルに動かせるので背中側にガスを噴射させることもできる。ただ残念ながらミイデラゴミムシの噴射力では空を飛ぶことは不可能なようである。

 ミイデラゴミムシの成虫の特徴だけでも非常に興味深いのだが幼虫時代は更に特異な生態を持っている。ミイデラゴミムシの幼虫はふ化した直後は体長2~2.8mmほどで移動能力が高く地中に潜って暮らしているケラという昆虫の産卵した卵の塊に侵入してそれを食べて成長する。移動の必要が無くなったミイデラゴミムシの幼虫は脱皮して二令幼虫になると足が無くなり蛆状の形になってしまう。この他の昆虫の卵塊などにたどり着きそれを食べて成長するのはホソクビゴミムシ科全体の特徴であるがほとんどのホソクビゴミムシ科の昆虫は宿主が分からず日本産のホソクビゴミムシ科で宿主が判明しているのはミイデラゴミムシだけである。このように研究が進んでいるのはやはり「ペッピリムシ」という知名度だからであろうか?

 上で「発がん性が指摘されている」と書いたミイデラゴミムシのおならの成分「ヒドロキノン」であるが実は美容品に使用されている。近年よく耳にする「美白効果」これにヒドロキノンが一役買っている。ヒドロキノンの強力な還元力は漂白効果もあり肌のシミや黒ずみを消す効果があると言われている(含有量2%までは無規制)美女の白肌を造る成分が実は「ヘッピリムシ」の屁の原料と同じ(もちろん合成で製造されていてミイデラゴミムシから抽出するわけではない)と考えると笑いがこみ上げてくるのである。

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 ミイデラゴミムシは朝鮮半島にも生息しているがかの「ロケットマン」の国ではミイデラゴミムシが切手になっていたそうである。


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by narutyan9801 | 2018-01-24 04:03 | 妄想(生物) | Comments(0)

エゾゼミ

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 久々に妄想以外の投稿

 写真のセミは「エゾゼミ」、エゾと付いているけど別段北国に生息しているわけではなく、九州にも生息している。それどころかこのセミの起源は南方系でクマゼミに近い仲間と言われてる。

 しかしこのセミ、大の「人間嫌い」というより森林を好むので、結構派手な外見の割には知られていないセミ。自分も相双地域に居たのは知っていたけど初めて見たのは30年以上前の上栃窪の森林で。

 でも今年は結構開けた場所でも見るようになった。この個体は灯火に引き寄せられて来た個体。去年は見かけなかったので何か原因がありそう。悪いことでなければいいが。

 エゾゼミについて詳しくはこちらで
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by narutyan9801 | 2013-09-10 09:42 | 写真 | Comments(0)

白露過ぎカブトムシの死

昨日、白露過ぎカブトムシ君が力尽きました。
17日頃から急に体力が衰えて、何とか秋分の日まで持たせようと色々と手を討ってみた結果何とか秋分の日の午前中まで生きてくれました。しかしまあ、虫の寿命を数日間でも持たせる飼育技術なんて昔は考えられなかったよな。面白い世の中になったもんだ。

このカブトムシ君、普通に考えれば8月中旬羽化ってことは考えられないので、一ヶ月と十日以上は生きていたと思われる、大往生であろう。安らかに眠ってくれ
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by narutyan9801 | 2012-09-23 09:09 | 季節 | Comments(0)

かくも自然は厳しいなり

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そして前回投稿したヤママユの二時間後の姿。これが自然界の現実というものか…。
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by narutyan9801 | 2012-09-08 18:26 | 写真 | Comments(0)

ヤママユ(写真閲覧注意!)

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写真はヤママユ。国語の教科書に取り上げられた「夏の日の思い出」でエッミールが羽化させ、主人公がその標本をぼろぼろにしてしまった件の蛾である。あの作品では相当レアな鱗翅目のような取り上げかたをしていたが、ここ福島県相双地区ではごくありふれた普通種である。
このヤママユの仲間(ヤママユガ科)は口が退化していて、羽化した後の成虫は幼虫時代に蓄えた栄養だけで生きるので成虫の寿命は短い。以前は灯火に集まってきた個体を山に返していた時期もあったけど、どうも灯火に集まってきた個体というのは、体力をほぼ使い果たして弱っている個体が多いようなので、それならば外敵に捕食されるのも仕方ないと、放っておくことにしている。

こんな外見の蛾だけど、彼らは蚕の仲間で蛹になるときは繭を作る。その繭からは緑色の生糸が取れ「天蚕糸」と呼ばれ珍重されている。ヤママユガ科の幼虫は蚕よりも繊細で飼育が難しい。エッミールは「羽化させた」としか書かれていないので幼虫飼育をしていたかは不明だが、もし幼虫から飼育していたのであれば、標本技術だけではなく昆虫飼育の技量も相当高かったと思われる(笑)
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by narutyan9801 | 2012-09-08 18:11 | 写真 | Comments(0)

シロスジカミキリのトゲ

写真は、シロスジカミキリの頭胸部。恥ずかしながら何百回と見ている虫なのに、胸部にトゲが
あることを今回初めて知りました。

人生半分過ぎたけど、まだ身近な虫の知らんことって多いな。
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by narutyan9801 | 2012-08-19 14:44 | 写真 | Comments(0)