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鼈の独り言(妄想編)

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太平洋戦争が滅ぼした二種類のクイナ

 太平洋戦争では多くの島々が戦場になり、そこに生息する動物たちも戦火に巻き込まれている。今回は戦火に巻き込まれ絶滅してしまったクイナ科の鳥、ウェーククイナとレイサンクイナ、この2種を考察したい。

ウェーククイナ
 ウェーククイナはウェーク島に生息していたクイナの仲間である。ウェーククイナの生息していたウェーク島は1568年にスペイン人によって発見されたものの珊瑚礁で形成された孤島に植民できる余地は無く、無視されることになる。1796年にイギリス人が再発見しウェーク島と命名しているが、ほとんど放置の状態だった。1841年にアメリカ海軍が占領し、極東とアメリカ本土の中継地点として活用し始め、1899年にアメリカ領として正式に併合される。日本との関係が次第に悪化し、ウェーク島は戦略的に重要拠点となるが、島の軍事拠点化は日本を刺激するとの判断から1940年まで見送られ、1941年の日米開戦時にはウェーク島の軍事施設は未完成であった。1941年末激戦の末ウェーク島は日本軍に占領されるが、この時点ではウェーククイナはまだ島内に生息していた。

 ウェーククイナの祖先は遠い昔、絶海の孤島であるウェーク島に渡ってきて定着したものと考えられている。狭い島内に定着したため飛翔能力が退化して飛べなくなっていた。特に外敵がいなかったため警戒心が薄く、人間が近づいても逃げなかったといわれている。

 戦局が日本不利に傾くとウェーククイナの運命が一変する。ウェーク島は奪回作戦を行わず補給を絶たれ封鎖されてしまう。島内に残る日本軍は食料不足に陥り、飛べないウェーククイナが食料として捕獲されることになる。ウェーククイナはなぜか赤い布をちらつかせると寄ってくる習性があり、容易に捕獲できたという。こうして終戦までにウェーククイナは狩り尽くされ、絶滅してしまうことになる。


レイサンクイナ
 レイサンクイナはハワイ諸島のレイサン島に分布していたクイナの仲間である。ウェーククイナと同様島に定着し飛翔能力が失われた飛べない鳥であった。
 レイサン島には1900年代初頭には相当数のレイサンクイナが生息していたが、島でグアノ(鳥の糞や死骸、餌の魚などが堆積したもの、肥料や火薬の原料になる)の採掘が始まると生息環境が破壊され、また島に持ち込まれたウサギが野生化し生息地域を奪われ、1936年頃にレイサン島では絶滅してしまった。だが絶滅前に捕獲されていた個体が北西のミッドウェイ島に放され、そこで繁殖し数を増やしつつあった。

 だが太平洋戦争勃発後、ミッドウェイ島は日米の勢力が激突する重要拠点になる。1942年のミッドウェイ海戦で日米海軍が戦い、引き続きミッドウェイ島は日本に最も近い軍事拠点として活用される。島には潜水艦の前線基地としての機能が求められ、多くの物資が島に運ばれる。その物資の中に島に生息していなかったネズミが紛れ込んでいたのである。
 天敵を持たなかったレイサンクイナはネズミの襲撃に無力だった。またミッドウェイ島は平坦なさほど広くない島で、軍事拠点を設けるためレイサンクイナの生息地域は狭まっていった。結局ミッドウェイ島のレイサンクイナも1944年には絶滅してしまった。


 以上二種は直接戦火が絶滅に至ったわけではないが、戦争の影響で絶滅してしまったクイナである。そしてこの二種と非常によく似た状況に置かれたものの、現在まで生息しているのが「ヤンバルクイナ」である。ヤンバルクイナの生息している沖縄本島も1945年に戦火に巻き込まれたが、幸運なことにヤンバルクイナは現在まで生息している。ただ開発の影響で近い将来の絶滅が危惧されている。ロードハウクイナのように生息数数十羽から持ち直しつつあるクイナも存在するので、ヤンバルクイナが今後も野生で生存しつつけることを願う次第である。
by narutyan9801 | 2013-03-19 09:10 | 妄想(生物) | Comments(0)