人気ブログランキング |

鼈の独り言(妄想編)

suppon99.exblog.jp
ブログトップ

タグ:イチジク ( 1 ) タグの人気記事

イチジク ~実の部分は実は花である果物~

 名将ハンニバルとスキピオが戦った第二次ポエニ戦争後、勝者であるローマ国内ではかって戦ったカルタゴに対して融和してゆくか、敵対し滅ぼすかの方針が定まらずにおり、元老院でカルタゴに対する政策の議論が交わされていた。議論の最後に登場したカルタゴ滅亡論者の首領である大カトーは懐から数個の果物を取り出し「かの地ではこのような芳醇な果物を産する豊かな土地を持っている。ローマから船でわずか三日で行ける所にこのような国が存在するのは危険ではないか?」と説き、この演説がローマのカルタゴ滅亡方針を決定づけたと言われている、今回はローマがカルタゴを滅ぼす動機となった果物、イチジクを考察したい。

 イチジクはクワ科に属する植物で原産国はアラビア地方と考えられ、乾燥地域に適応した植物である。非常に甘い味がする実を付けることから古くから栽培が行われていた。少なくとも六千年前の古代メソポタミアで栽培が行われていたことが分かっているが、近年ヨルダンの新石器時代の遺跡から炭化したイチジクの果実が発見され、放射能測定の結果一万年以上前のものであることが分かり、人類がもっとも古くから栽培を行っていた植物である可能性も出てきている。

 イチジクはなんといってもその甘い果実を付けるのが特徴であるが、通常果物は花が咲き受粉が行われた後種子の周りを覆う果肉が肥大してそこが食用になるのであるが、イチジクの場合は通常花びらが付く花軸が肥大化し花嚢と呼ばれる組織を形成する。イチジクの花はこの花嚢に包まれ、内部で開花することになる。イチジクの果実を割ってみると中に無数のひだ状の部分があるが、ここが花弁、普通の植物でいう花びらの部分でありイチジクの可食部は実は花そのものなのである。花の部分が包まれて外部から見えなくなっており、イチジクが「無花果」と表されるのはこのためである。
 イチジクの野生種は実の内部に咲く花にイチジクコバチという小さな蜂が入り込み、蜜を得る代償として受粉を行い、繁殖を行う。一方多くの栽培品種は受粉を行わなくても果実が成熟する品種であり、挿し木や接ぎ木で増やすことが一般的である。
イチジクは実のほかにも樹液に薬効成分が含まれており、葉を煎じて飲むと寄生虫の駆虫効果があるとされており、漢方薬としての利用もある。

 イチジクの利用の歴史は古いが、日本にイチジクが入ってきたのは比較的新しく江戸時代に入ってからと言われている。しかし挿し木接ぎ木で容易に増やせることと味が好まれたため各地で栽培されている。現在日本はイチジクの生産では世界第14位の位置にある。日本ではイチジクは基本的に生食であるが、多くの国では果実を乾燥させた「乾燥イチジク」として出荷することが一般的である。

 ところで旧約聖書では「禁断の果実」を食べてしまったアダムとイブが羞恥心を持ち腰蓑を身につけたとされるが、その腰蓑はイチジクの葉から作られたとされている。大カトーもカルタゴ滅亡の本心をイチジクを使って婉曲に表現しており人間はなにか隠し事をする際、イチジクを利用してきたような感がある。それだけイチジクと人間の関わりが古いことを示す証拠なのかもしれない。
by narutyan9801 | 2013-10-21 15:37 | 妄想(生物) | Comments(0)