鼈の独り言(妄想編)

suppon99.exblog.jp
ブログトップ

キノドン類 ~恐竜と哺乳類との生存競争に敗れた?動物~

 動物の分類の一つである哺乳類の起源は古生代石炭紀にまで遡る。デボン紀後期に現れた両生類は産卵及び初期の生活環境は水中であり、成体も長期間の陸上生活は出来ず水辺付近から離れることが出来なかった。この両生類の中から陸上生活に適応できる「有羊膜類」が出現し陸上へ生活環境を広げてゆく、石炭紀にこの有羊膜類は二つに分岐する。一つは現生爬虫類、鳥類、恐竜などが含まれる双弓類。もう一つが哺乳類が含まれる単弓類である。単弓類の系統は現在は哺乳類だけが生存しているが、古生代末から中生代の終盤、ほぼ恐竜が地球上の支配者だった時代にその足下では哺乳類と生存競争を繰り広げた動物が存在したのである。今回は哺乳類との長い間生存競争を繰り広げ、破れ絶滅した「キノドン類」を考察したい。

 単弓類の特徴は頭蓋骨にあいた一対の「穴」と「異歯性」である。「一対の穴」は人間の頭蓋骨では脳の発達により頭蓋骨が膨張したため塞がってしまっているが、こめかみの部分と頬骨のくぼみが穴の痕跡である。異歯性とは歯の生える位置によって形状が異なることで、我々人間も分類上は単弓類に属することになる。
 単弓類は巨大な「帆」を持つエダフォサウルスやディメトロドンが含まれる盤竜目を経て獣弓類に進化し、このころすべての大陸が集まって出来た超大陸「バンゲア」全土に進出するほど繁栄する。この獣弓類は体温を維持する恒温性、体毛など現生哺乳類とほぼ変わらない特徴を備えていた。というよりも現生哺乳類も分類上は獣弓類に含まれるのである。
 獣弓類はディノケファルス亜目、異歯亜目、獣歯類などに分岐してゆく。このうち獣歯類はさらに分岐し、いくつかのグループが出来る。そのグループの中に「キノドン類」が含まれるのである。

 キノドン類は水辺に生息し、現在のカワウソに近い生態を持った動物として現れたらしい。水辺という限られた環境に適応していたので獣歯類のグループでも小さく目立たない存在だった。そのキノドン類に一大転機が訪れる。

 古生代ペルム紀末、超大陸パンゲアは地球のマントル対流に影響を与え、現在のシベリアでマントル対流が地表面まで達し大噴火を起こす。この地球規模の異変はそれまでの生態系を一変させ、地球上の9割の生物が死に絶える大量絶滅が起こるのである。この大量絶滅の後、空白となった生態系に生き残った生物が拡散適応してゆくが、その中にキノドンの仲間も加わっていた。

 キノドン類が生き延びた理由は様々な説が上げられている。キノドンは現生のカワウソのように巣穴を作って生活しており環境の変化に適応できたという説。噴火により酸素濃度が下がったが、横隔膜が発達したキノドンは低酸素に適応できたという説などである。ともかくもキノドンは同じく低酸素状態に気嚢というシステムで対応し大量絶滅を逃れた恐竜の祖先、異歯亜目のディキノドンらと生息環境を奪い合ったのである。そして拡散適応を繰り返すうち、キノドンの仲間から新たなグループが進化してゆく、顎の骨の一部が耳に入り、耳小骨が形成された動物、現生の哺乳類はキノドンから進化した直接の子孫にあたる。

 ペルム期末の絶滅を逃れ繁栄したキノドン類であるが、三畳紀末再び大量絶滅が地球を襲うのである。この大量絶滅でディキノドン類は絶滅、キノドン類も多くの種類が絶滅してしまう。一方恐竜は大量絶滅の影響は小さく、その後他の絶滅動物の生息環境を奪い、中生代末までの繁栄の礎を築くのである。

 キノドンは再び限られた生態系の中で生息する動物になったのであるが、今回は強力なライバルが存在した。自らの直系の子孫である哺乳類である。哺乳類の四肢は胴体から垂直に延び、上腕骨が胴体から斜めにでているキノドン類よりも洗練された体を持っていた。昼間は恐竜の圧迫、夜は哺乳類との生存競争というキノドンの戦いはジュラ紀を通して続けられるが、次第に生息数は減っていった。確実にキノドンの化石と判別されたものは石川県で発見された白亜紀前期のものが最後である。

 ところがカナダで近年、恐竜絶滅後の6,000万年前の地層からキノドンのものではないかと思われる顎の化石が発見されている。この化石がキノドンのものであるかは賛否両方の意見があり謎のままである。「クロノペラテス(時の放浪者)」と名付けられているこの化石の主は、地上の支配を巡って破れた相手である恐竜の最後を見届けた後、絶滅したキノドンが地上に残そうとした証なのかもしれない。

e0287838_8595016.jpg

とある恐竜展のポスターに描かれたキノドン類。表情はあまりにあまりなものがあるが、用途によって形状が違う歯、全身を覆う体毛、それとはうらはらにワニのような形状の前肢とキノドンの特徴をよく捉えている。
[PR]
by narutyan9801 | 2013-09-20 09:05 | 妄想(生物) | Comments(0)