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鼈の独り言(妄想編)

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コティングリー妖精事件 ~無邪気さが作らせた妖精写真~

 三十代以上の方で幼少からオカルト的な物に興味がある方ならばほとんどの方が白黒写真に少女と「妖精」が写った写真を目にしたことがおありだろう。少女に戯れている「妖精」が白黒写真ということもあり、かなりリアルに「表現」されている。今回は有名作家も巻き込んだ「コティングリー妖精事件」を考察したい。

 問題の写真が撮影されたのは第一次大戦中の1916年7月が最初で、イギリスのコティングリー村に住むフランシス・グリフィスとエルシー・ライトの二人の少女が出会った妖精を撮ったという触れ込みで世間に公表されたのである。二人は従姉妹同士でエルシーまたはフランシスのどちらかと一緒にいる「妖精」を撮影した写真で、1920年までに計5枚の撮影が行われている。妖精は羽の生えたいわゆる「フェアリー」と呼ばれるような妖精が4枚と「ノーム」を撮影したと言われる写真が一枚である。「ノーム」は現在のイメージと違い羽の生えた妖精の姿をしている。
 
 この写真について発表当時から「偽物」説はあがっていた。また当時の写真はまだガラス原板を使う大がかりな写真で、扱いには熟練を要するものであったので子供が撮影したのではなく、他の人間が撮影したものではないかという疑惑もあった。だが撮影者が二人で間違いないと分かると、人々は次第に「本物」であるという意見に傾いてゆく。撮影したのが「子供」であれば逆に複雑なトリックは用いられないのではないかという思いや「子供がこんなトリック写真を撮るはずがない」という考えによるものであった。この考えを支持した人物の中に「シャーロック・ホームズ」の作者、アーサー・コナン・ドイルもいる。ドイルは写真の実物を受け取っており、彼はこの写真を「本物」と断定したことは大きな影響があったと思われる。彼の娘によればドイル自身は写真に疑いを持たないわけではなかったが、撮影した子供が嘘をつき続けることを信じられず「本物」としていたということである。

 撮影から時間が経過し写真撮影技術が進歩し過去の撮影物がどういった状況で撮影されたか推測できるようになると「コティングリー妖精」写真にも科学的なメスが入るようになる。被写体となった妖精には陰影がほとんどなく、平面的なものであること。当時のカメラはシャッタースピードが遅く、人間や風景は多少輪郭がぼやけるのに対し空中を「飛んでいる」妖精の輪郭がシャープなため、固定されている状態で撮影されていることなどが分かってくるとこの写真の真贋の議論が蒸し返され始める。いつしか写真の存在が一人歩きしてしまい、被写体と撮影者の二人の少女のことは忘れ去られ長い時が経ってしまっていた。

 撮影から遙かな後年、老境に達した二人の少女は沈黙を破り、真実を明かす。妖精は実は当時の絵本を真似て絵を描き、ピンで固定して撮影したものであることを告白したのである。ただ五枚の写真のうち、最後に撮影された「日光浴の繭」と名付けられた写真だけは「本物」であると主張しており、テレビ番組でも「偽物という証拠はつかめなかった」とされることも多い。
 写真を撮影した動機であるが、二人は仲が良く一緒に遊んでいたのであるが、いつも服を泥で汚してしまい母親から小言を言われ、言い訳に「妖精を見に行っているの」と言い、妖精がいる写真を撮れば遊んでも怒られないだろうということからエルシーが父親から写真機を借り撮影をしたのである。この写真を見たエルシーの父親が方々に写真を送りつけ(その中の一人が心霊研究家でもあったコナン・ドイルであった)、騒動になってしまい困惑した二人はこの件に関して沈黙することにしたのである。

 タネを明かしてしまうとトリックともいえない単純な方法で撮影された「妖精写真」であった。ネット社会の今であれば発表してすぐに「偽物」と断定されてしまうであろう。こうした写真が人々に「信じ」られるだけ当時はおおらかで懐の大きい時代だったのだろう。

 現在「コティングリー妖精写真」のガラス原板と撮影されたとされる写真機は実は日本にあり「うつのみや妖精ミュージアム」にて展示されている。機会があったら自分も足を運んでみたい。

 それにしても「日光浴の繭」は本物なのだろうか?イギリス人の7人に1人は幽霊やその他不可思議なものを見た経験があるという統計もある。はたして?

コティングリー妖精事件 ~無邪気さが作らせた妖精写真~_e0287838_928575.jpg

         少女達?がこれだけは「本物」と言い続けた「日光浴の繭」写真
by narutyan9801 | 2013-06-07 09:26 | 妄想(事件・事故)