鼈の独り言(妄想編)

suppon99.exblog.jp
ブログトップ

褐色矮星 ~軽すぎて光ることができない星たち~

 恒星は宇宙空間に存在する星間物質が集まり、その質量がエネルギーとなって核融合反応を起こし今度はエネルギーを放出するようになる。しかし集まった物質がある程度の量を満たさないと核融合反応を起こすことができず、恒星になることができない。今回は恒星になることができなかった星「褐色矮星」を考察したい。

 星の内部が重力のエネルギーにより高温になり軽水素(1H)が核融合反応を起こすためには太陽の質量の8%の質量が必要である。これよりも質量が少ない場合軽水素の核融合反応は起こらないが、水素分子の中に中性子が一つ組み込まれている重水素(2H)は軽水素よりも低温で核融合反応を起こすので、質量が小さな星でも条件次第では重水素の核融合反応でエネルギーを放出することができる。しかし重水素の存在比率は低い(地球上では軽水素と重水素の比率は99.985%と0.015%)ので短期間で重水素の核融合反応は終わってしまい、エネルギーを放出しなくなってしまう。これが褐色矮星と呼ばれる天体である。

 褐色矮星は重水素の核融合反応での余熱で表面がある程度の温度に保たれている期間があり、高温に保たれている状態であれば赤外線での観測が可能であるが余熱を放出してしまい冷えてしまった状態になると観測は困難になってしまう。このため褐色矮星は観測数が少なくまだわからないことも多い。宇宙全体の物質の中ででまだその正体がよくわかっていないいわゆる「暗黒物質」と呼ばれる物質の内のいくつかはこの褐色矮星が占めている可能性も高く今後の観測で宇宙の謎をいくつか解明できるヒントが隠されているといえる天体である。

 最近発見された褐色矮星で面白い性質を持つ星がある。こと座の方向36.5光年離れたところにWISEPA J182831.08+265037.5という長ったらしい名前の褐色矮星が存在するが、この天体は観測された太陽系外天体のうち表面温度がもっとも低い天体として知られている。その表面温度は約300K(ケルビン)摂氏にすると約25~30℃と地球とそう変わらない温度である。この温度だと液体の水が存在する可能性もあり、生命の誕生の可能性も0ではない。むろんこの温度は一過性のものであり、また非常に観測しにくい天体でもあるので測定結果が正確かどうかはわからない。しかし従来惑星上でしか生命の誕生の余地はないと思われていたところに新たな可能性を見いだせた楽しい発見であると思える。
[PR]
by narutyan9801 | 2013-05-17 10:38 | 妄想(天文) | Comments(0)