鼈の独り言(妄想編)

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ジェームズ・パーキンソン ~パーキンソン病の発見者でありメガロサウルスの命名者~

 このブログでは何度か取り上げているが、19世紀の地質学はまだ学問的に成立してから時間が浅く、専門の研究者だけでなく、いうなればアマチュアの研究者の活躍の余地が十分あった学問だった。今回取り上げる人物もそんなアマチュア地質学者なのであるが、その人物は生前評価が低く、亡くなって半世紀以上歴史に埋もれた存在であった。現在では知らない人はあまりいないであろう病「パーキンソン病」の発見者、ジェームズ・パーキンソンの知られざる業績について考察したい。

 ジェームス・パーキンソンは1755年生まれ、本業は医者であったが、趣味で地質学も研究していた。彼が受け持った原因不明の患者6名の克明な症状を研究し、これが特定の病気が原因ではないかと考え、この病気を「振戦麻痺(shaking palsy)」と命名し1817年学会に発表する。だが当時の医療技術では人間の脳の状態を把握することは難しく、彼の報告は残念ながら証明することができずに半世紀以上省みられなかったのである。
 パーキンソンの発表から70年以上経過した1888年、フランスのジャン=マルダン・シャルコーが同様の症例を研究中にパーキンソンの論文を発見し、再評価を行ったことにより世に認められるようになったのである。シャルコーは再評価に当たりこの病気の名称を「パーキンソン病」と命名することを提案し了承されている。これは発見者のパーキンソンに敬意を表したことも一因であるが、パーキンソン病は真の「麻痺」は起こらず、またすべての患者に必ずしも振戦(手足の震え)が見られないことも理由とされている。ともかくパーキンソンの業績は彼の死後60年以上(1824年没)経って初めて評価されたのであった。

 そしてパーキンソンのもう一つの業績は「最初の恐竜の命名者」というものである。以前書いた「イグアノドン」の発見の前からイギリスでは大型動物の骨と思われる化石が発見されていた。地質学に興味があったパーキンソンは巨大な歯の化石を入手し、研究を行った結果「巨大な肉食性のトカゲのもの」ではないかとの結論に達し、これを知人の聖職者で地質学者でもあったウィリアム・バックランドに話している。このときパーキンソンが考えていた学名が「メガロサウルス(巨大なトカゲという意味)」というものであった。その後バックランドはこの動物を記載するときにパーキンソンの考えた学名をそのまま使用している。

 メガロサウルスが記載されたのは1824年、パーキンソンが亡くなった年であった。想像になるがパーキンソンは研究の途中で自分の命の限界を感じ、研究をバックランドに託したのではないだろうか。「振戦麻痺」と「メガロサウルス」両方ともパーキンソンが晩年になって手がけた研究で、彼に残された時間は少なすぎた。生前「振戦麻痺」に関しては証明が不十分で評価されなかったが、研究三昧の日々を送った生涯は満ち足りたものではなかったろうか。
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by narutyan9801 | 2013-04-23 09:23 | 妄想(人物) | Comments(0)