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鼈の独り言(妄想編)

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人体自然発火事件 ~人が灰になる事件の意外な要因~

 「北斗の拳」を知っている方なら「炎のシュレン」の名を覚えている人も多いだろう。いきなり涙を流しながら登場し拳王ラオウに挑むも攻撃は全く通じず逆に片手片足を折られ、最後に己が身を炎に包んでラオウを焼き尽くそうとするも頸椎をねじ切られて絶命する姿には何か忘れられないインパクトがあった。この炎のシュレンの技は作中では語られなかったが両手から炎を発し相手に打撃と共に火傷を負わせるというものであった。人間の体から炎を発するのは物理上は不可能なことなのだが、不思議なことに人体から自然発火したかのような事件が何件か起こっている。今回はこの「人体自然発火事件」を考察したい。

 成人の人間の体は約70%が水分でできており通常は炎にかざしたりしても燃え上がることはない。しかし「人体自然発火事件」では人体が自然に燃え上がったような状態で発見され、通常の火災では残る骨までも灰になって発見されることがほとんどである。さらに人体を完全に灰にするまで燃焼させたにもかかわらず人体の四肢の先端が完全な形で残ったり、延焼した部分が燃焼した人物の周辺だけに留まるなど通常人体を燃やした状況に収まらないことが多い。たとえば第二次大戦末期に自殺したアドルフ・ヒトラーの遺体は焼却し灰にするよう遺言されガソリン150リットルが用意されたのだがそれでも遺体を完全に灰にはできずに燃え残った遺体はソ連軍に回収されたとされている。人体を灰にするには相当な火力が必要であるにも関わらず、燃焼範囲が極めて狭い範囲に留まることがこの事件を不可解なものにしていたのである。

 具体的な人体自然発火事件を上げてみると
 ・ベントレー事件
 1965年12月5日に発生。当時92歳のジョン・ベントレーが焼死体で発見される。ベントレーは片足だけを残し(頭蓋骨なども残っていたと言われる)完全に灰となっていた。発見場所はバスルームで火の気は無く、彼の身体の周囲以外に燃えた形跡はなかった。

 ・メアリー・リーサー(リーザー)事件
 1951年7月1日に発生。当時67歳のメアリー・リーサーが焼死体で発見される。遺体は燃焼し萎縮した頭蓋骨といくつかの骨片を残して灰となったものの、彼女の周囲以外には延焼しなかった。

 この他にもいくつかの事件が発生しているが、その多くに共通することは
  ・犠牲者は比較的高齢で一人暮らしの場合が多い、
  ・遺体は高温で燃焼したように灰化しているが、遺体の周辺以外には延焼していない。
  ・犠牲者の体型は肥満体が多い。

 などが上げられる。発火の要因としてはタバコの不始末などの失火が考えられるが人体を灰化させるほどの熱を発生させる原因とは考えにくく、そのため原因として人体内部に含まれるリンが発火したという説、プラズマの発生による燃焼説、などが考えられてきたが具体性には欠けていた。ところが近年新たな説「人体ロウソク燃焼説」が浮かんできたのである。

 後漢を実質的に滅ぼした人物、董卓が誅殺後その亡骸のへそにロウソクの灯心を置いて灯したところ数日間燃えたという伝承がある。人体が熱に晒されると体内の脂肪が分解され液化する。通常この状態では燃えることは無いのだが灯心状のものがあると液化した脂肪分は毛細管現象により吸い上げられ、結果濾過された液化脂肪分は燃焼を続けることができるのである。燃焼自体は弱いものであり近くに可燃物が無い場合延焼が起こることは無いと考えられる。
 燃焼が弱いのであれば骨まで灰化することは不可能と当時は思われていたが、実際には比較的低温の炎に長時間晒されたほうが骨の灰化は進むという実験結果が示されている。さらに犠牲者の多くが高齢だったことも不可解な事件発生の一つの要因であったと思われる。人体の含水率は年齢を重ねると低くなり成人では70%だった含水率も高齢者になると50%程度まで落ちてくる。さらに骨密度の低下も人体灰化を促進させる要因と考えられるのである。また「人体ロウソク燃焼説」により衣服を被っていない四肢の先端が燃え残っているという謎も説明できるのである。
 
 「人体ロウソク燃焼説」によりいくつかの事件は推察が可能になっている。上記の事件例の二人の犠牲者は愛煙家であり度々タバコの灰を衣服に落としていたことが目撃されている。ジョン・ベントレーの場合はおそらくタバコの火が衣服(ローブ)に引火した後、バスルームへ消火に行きバスタブへ火のついたローブを投げ込んだ時点で力尽き、その遺体は消火できなかった火によって焼き付くされたのだと思われる。メアリー・リーサーは睡眠薬を服用しておりおそらく寝タバコが原因で衣服に引火、ロウソク現象により身体のほとんどが燃えてしまったものであろう。現在の鑑識能力からするとこれらの事件は「特異な失火による事故」で済まされてしまうかもしれない。
 しかし近年映像の保存技術が進歩し、様々な映像が残されるようになると人体発火の瞬間などをとらえた映像もネット上に上がるようになってきている。トリック映像であるものも少なくないと思われるが、もしかしたら人体には自然に発火するような謎めいた力を秘めているのかもしれない。


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 ベントレー事件の状況写真、燃え残ったジョン・ベントレーの片足と焼け落ちたバスルームの床。穴の上部に残っているフレーム状のものはベントレーが使っていた歩行補助器具である

謎 戦慄の人体発火現象―世界各国で事件続発 (サラ・ブックス)

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超怪奇現象の謎 (ほんとうにあった! ? 世界の超ミステリー)

並木伸一郎(監修)/ポプラ社




by narutyan9801 | 2014-09-03 01:00 | 妄想(オカルト)