鼈の独り言(妄想編)

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アルフレート・ヴェーゲナー ~グリーンランドに倒れた大陸移動説の提唱者~

 現在地球上の大陸はユーラシア(ヨーロッパ含む)、アフリカ、オーストラリア、南北アメリカ、南極と分裂しているが、古生代には一つの巨大な大陸があり、それらが分裂したというのが現在の通説である。この「大陸移動説」は二十世紀に入ってから提唱され、1960年代に支持されるようになった比較的新しい学説である。この学説を初めて唱えた人物、アルフレート・ヴェーゲナー、今回は彼を考察してみたい。

 アルフレート・ヴェーゲナーは1880年ドイツ生まれ、彼は本当は気象学者であり、地質学は専門外であった。彼は気球を使った気象観測に才能を発揮し、将来を嘱望された逸材でもある。そんな彼が大陸移動説を唱えたのはあるひらめきからである。
 1910年、彼は世界地図を眺めていて、アフリカ大陸西岸と南アメリカ大陸東岸の形がよく似ていることに気づき、この二つの大陸は元は一つではなかったかと思うようになる。誰でも思いつくような何気ないことであるが、彼には何か確信できるひらめきがあったのかもしれない。彼は専門の気象学、そして古生物学などの資料を基に1912年にドイツ地質学会に「大陸移動説」を発表する。
 ヴェーゲナーの大陸移動説は最初「パンゲア」と名付けた巨大大陸が地球上にあり、それが南北に分裂し、さらに両方の大陸が東西に分裂して現在の大陸の配置になったという学説を唱え、その証拠として氷河の痕跡や、同一の生物が各大陸から化石で発見されている事実を上げている。

 この新説に対し、当時の地質学会は批判的であった。古生物の化石が各大陸から発見されるのは大陸間に「陸地の橋」が形成され、生物が移動した後消失したという「陸橋説」で説明した。なにより地質学者達がヴェーゲナーを追求したのは「大陸を移動させたエネルギーはどこにあるのか?」という点であった。ヴェーゲナーの説は物証は確かにあるが、肝心の「なぜ大陸が移動するのか」という点が説明されていなかったのである。現在ではマントルの対流という原動力が分かっているが、当時の地質学では証明できないものであった。実はヴェーゲナーはマントルの対流について著書で言及している。本来気象学者である彼は対流についての理解はあったはずで、観測機器が発達していれば彼の理論は彼自身が証明できたかもしれない。しかし彼に自身の説を証明させるだけの時間は与えられなかった。

 ヴェーゲナーは自身の「大陸移動説」を証明するためにグリーンランドに目を付ける。大陸が動かなければグリーンランドは地球が誕生してからずっと氷に閉ざされたままで動物が生息できる環境にはならなかったはずである。そのグリーンランドで動物の化石が発見されれば「大陸移動説」の証明に繋がるのではないか?と考えたのである。
 ヴェーゲナーのグリーンランド調査は5回に及んだ。そして5回目の調査中、彼は過労によると思われる心臓発作で急死してしまう。彼の遺体は調査に同行していたイヌイットの手により埋葬されるが、そのイヌイットも後日遭難してしまい、ヴェーゲナーは行方不明扱いとなってしまう。翌年捜索隊がヴェーゲナーの遺体を発見し、改めて埋葬されるが、彼の墓標には「偉大な気象学者」と刻まれ、「大陸移動説」については何も記されなかった。

 ヴェーゲナーの死後30年ほど経った1950年代に大陸移動の原動力がマントルの対流によるものだという仮説が唱えられ、また世界中の岩石に残された地磁気の調査から大陸が移動していたという「説」が「事実」であったということが次第に判明し、ヴェーゲナーの学説が正しかったことが認められるようになる。地下のヴェーゲナーは現在の評価を喜んでいるか、それとも「遅すぎた」と嘆息しているか、ちょっと聞いてみたくなる疑問である。
 ちなみにヴェーゲナーの最期の地、グリーンランドではその後プロガノゲリスという淡水産のカメの化石が発見され、このカメの化石は他の地域からも発見されていることから物的証拠でもヴェーゲナーの説が正しかったことを証明している。 
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by narutyan9801 | 2013-03-28 20:03 | 妄想(冒険家) | Comments(0)